歴史マンガに見るおもしろいコンテンツの特徴

2022/05/01

仕事に効く


最近とあるマンガを一気読みしました。 高浜寛『ニュクスの角灯』という作品です。

学校で教えてくれない明治の長崎が舞台

舞台は明治維新後の長崎・出島
主人公は西南戦争で親を亡くした女の子。

長崎の親戚に引き取られて、道具屋で働くことになります。 

海外のものを日本に紹介し、日本の美術工芸品を海外に輸出するのがそのお店の商売です。

店主は日本人とフランス人のハーフ。

店主を育てた養父は、出島のオランダ領事館でコックをしていました。

隠れキリシタンです。 

この作品では、登場人物たちの人間関係と、明治維新後という大きな時代のうねりの中で商売をしていくとはどういうことか?が描かれています。 

ニュクスの角灯のおもしろさは、教科書に書かれていない歴史が描かれていることだと私は思います。

学校では明治維新以降の近代史ってあまりやりませんよね?

縄文時代とか弥生時代から江戸時代までは割とていねいにやっていくけれど、明治以降になると授業時間が足りなくなって、教科書を読んで終わり。

少なくとも、私が通っていた小学校から高校はそうでした。

だからこのマンガで明治時代の長崎・出島がどのような場所だったのかがわかって、新鮮でした。

浮世絵のエピソードから海外から見た日本を知る

おもしろかったエピソードを一つ紹介すると、日本の浮世絵に対する評価があります。

私が知っているのは、浮世絵って写楽とか葛飾北斎とか教科書に載ってたあれでしょ?なんかすごいものらしい。くらいのことです。 

当時も日本人の間ではほとんど評価されてなくて、荷物を梱包するときに隙間に詰める緩衝材に使われていたそうです。

それを変えたのは海外の評価。

道具屋の主人が海外のコレクターに紹介したことから、海外で浮世絵人気が高まっていったのでした。

浮世絵を紹介しているときの会話を読むと、外国の人から見た浮世絵のおもしろさ、日本の美術工芸品がどう見えていたかの一端を知ることができて、とても興味深いです。

おもしろいコンテンツ3つの特徴

LINEマンガで毎日いろいろなマンガを読んでいる私ですが、実は買ってまで読むものはほとんどありません。

ニュクスの角灯も最初はLINEマンガで見つけておもしろかったので、先が気になって買ってしまったというわけです。

好きなマンガを眺めてみると、歴史マンガほかジャンルはバラバラながら、ある特徴があることに気がつきました。

ここで、先が気になるコンテンツの特徴を考えてみたいと思います。

1:事実に基づいている

ニュクスの角灯はフィクションです。

でも、すべてが作り話ではありません。

歴史上の出来事を素材にしているし、登場人物像も実在の人物も何人かいるようです。

資料を読み込んでしっかり時代考証がされており、実際にその場を訪れて当時の面影を感じてみたり、人の話を聞いたりしている。

調べて、見て聞いて感じているから、フィクションなのに細部がリアルなんです。司馬遼太郎など有名な作品の多くもそうですよね。

事実に基づいているから、ある種の汎用性があります。読んだ人、見た人に「ふむふむ」「だよね〜」と思わせることができるんです。

2:主観がある

物語は主観が描かれるもの。と思うかもしれませんが、その程度は作品によって全然違います。

生い立ちと背景。何を嬉しいと感じ、怒り、悩むのか。

喜怒哀楽のリアルさと細かさが、キャラクターの魅力を引き出し、物語をおもしろくしていると感じます。

3:新しい視点がある

歴史マンガは史実を元にしているので、素材はみんなが知っていることです。 

でもスポットライトを当てるのは、すでにみんなが知っていることではなく、名もなき人の半生であったり、教科書に書かれていなかった事実だったりする。

歴史の教科書が表なら、歴史マンガは裏・横・ナナメから見ています。

多くの人が多少の親近感を持てる”知っているもの”を題材にしつつ、知られていないことをひっぱり出して来ている、といえばいいかもしれません。

おもしろさの原点は作者の「思い」

おもしろい作品に出会うと、私は作者を知りたくなります。

経歴や出身、作者が何に関心を持っているのか。 その作品が生まれた背景を知りたくなってしまうのです。

ニュクスの角灯の作者、高浜寛さんは天草生まれであることがわかりました。

天草と長崎は近いので、昔から交流がありました。

いまも文化的に似ているところがあります。

なぜ九州、長崎を舞台にしたのか。
なぜ道具屋の養父を、天草出身の隠れキリシタンにしたのか。

そこにあるのは、作者のルーツや背景であり、それが作品を生み出す思いにつながるんだな、と改めて感じました。

自分がおもしろいと思うものを考察することで「おもしろい」を言語化してみました。

勉強しているつもりがなくても、いつのまにかその時代について知ることができる歴史マンガ。『ニュクスの角灯』はエンタメしてもおすすめです!

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2017年に未経験からライターの活動をはじめた私が、都内のベンチャー企業の広報のお手伝いや、コンテンツ制作、ビジネス系メディアへの寄稿をさせていただけるようになるまでのこと、興味のあることなどを現在進行系でお伝えしています。

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