人間関係の問題を突き詰めて考えると、根っこにあるのは自己肯定感だと言われています。
自己肯定感とは、自分を肯定的に受けとめ「自分は大切な存在だ」と思える心の状態のことです。
人間関係を築くときや、新しいことにチャレンジするときなど、困難なことを乗り越えられるのは自己肯定感の高い人だそう。
自己肯定感の高い・低いは家庭環境や幼少期の体験が大きく影響するといわれてますし、大人になって自己肯定感を高めるのは簡単なことではありません。
なので、子どもを持つ親なら、一度はどうすれば子どもの自己肯定感をアップできるのかと考えたことがある人も多いはず。
自己肯定感を高めるには「ほめる」のが大事だと言われていますが、それってどうすればよいのでしょうか。
そんな人に手にとってもらいたい本があります。
それが『わが子がやる気になる伝え方性格3タイプ別の声がけで自己肯定感が高くなる(小学館クリエイティブ単行本)』です。
伝わらないのは、相手の受け止め方を知らないせいかも
「もう、何度言えばわかるの?」「この子は育てにくい」
そう思うのは、もしかしたら、子どもに伝わる言葉を使えていないせいかもしれません。
こんなシーンを想像してみてください。
おもちゃで散らかった部屋を片付けるよう言った後、きれいになった部屋を前にして、あなたはどのように子どもに声掛けしていますか?
A)わぁ、すごい!びっくり!ピカピカ!
B)ありがとう。お母さん、助かったわ。うれしい。
C)おもちゃがみんな元あった場所にきれいに片付けられているね。
意識しなければ、たぶん自分が言われて嬉しいことを言っているのではないかと思います。
これらはすべて”ほめ言葉”です。
ところが、同じ言葉でも人によって聞こえ方が違うので、親はほめているつもりでも、子どもはほめられているとは感じていないかもしれません。
教育現場でも活用!性格統計学でわかる、自分と相手のコミュニケーションタイプ
「親と子どもは違う存在」であることは、頭で理解している人は多いと思います。
けれども、「違う」とはどういうことなのか、いまいちピンと来ない人も少なくないのではないでしょうか。
私はそうでした。
伝わる言葉はタイプによって違うというのがこの本の主張です。
著者の稲場氏によると、人のコミュニケーションタイプは次の3つに分けられるといいます。
A)ビジョン:自分がやりたいか・やりたくないかでモチベーションが変わる
B)ピース:人の役に立ちたい
C)ロジカル:納得してから自分のペース・タイミングで進めたい
著者が12万人の統計データを分析したところ、生まれや育ち、職業が違っても同じコミュニケーションタイプに属する人は同じ言葉に響き、そして同じ言葉を嫌う傾向にあることがわかったそうです。
著者はこれを性格統計学と名付けました。
性格統計学は教育現場でも活用されています。
平成28年度は、文部科学省の調査研究委託事業として富山県黒部市の教育委員会と連携して市内の3つの小中学校の教員向けの研修に活用したそうです。
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私たちは家族など親しい人のことは無意識に自分と同じと思ってしまいがち。
そのため、自分が好きなものは家族も好きだし、イヤなものは嫌いに違いないと考えてしまいます。
けれども、たとえ家族や友人であっても、コミュニケーションタイプが違えば、嬉しいと感じる言葉、そしてイヤだと感じる言葉はもちろん違うのです。
私は2人の子どもに対してCの言い方をしていたのですが、診断してみたらたまたまどちらもCが合うロジカルタイプでした。
子育てに正解はないとは思うものの、我が子の正解を探し当てたいというのが親心ではないでしょうか。