田舎暮らしがブームになっています。
田舎は都市部に比べて生活コストが安くて、のびのび暮らせると考える人が多いのが理由の1つでしょう。
それは本当です。
けれども、中にはせっかく移住したのにほんの数カ月(長くても2〜3年くらい)で元いた場所に帰ってしまう人も少なくありません。
それはどうしてなのでしょうか。
この記事では、横浜出身で熊本県・天草市に移住したわたしの目から見た、田舎で生活できる人の条件を考えてみたいと思います。
生活に欠かせない「何をしたいか」という視点
田舎への定住を難しくする理由は主に2つあると考えています。
1つは仕事、もう1つはコミュニケーションです。
移住者の誘致に積極的な天草では、移住希望の方が天草にやって来ると役所の職員が先輩移住者のところに連れていって話をする機会を設けてくれます。
わたしたちのところにもこれまでに何度か話を聞きにいらした方がいました。そこで感じたのは「何をするか」ではなく「どこに住むか」を先に考えている人が多いことです。
たしかに、天草は住むによいところだと思います。
天草には、海も山もあります。広い天草は地域によって気候が違うため、手に入る食材もバリエーションに富んでいます。
手に入らないものは、ほとんどないといってもよいかもしれません。
(りんごや、さくらんぼ、鮭など北の食材はありませんが)
夏は暑いですが、冬も寒すぎることはなく海はきれいで、人ものんびりしています。
田舎なので、家も広いです。
かつて天草は島でしたが今は本土と橋でつながっていますし、一応空港もあるので、陸路でも空路のどちらでも外に行くことができます。
でも、住環境さえよければどんな仕事をしていてもよいのでしょうか?
1日24時間、そのうち3分の1近くは寝て過ごすとしても、起きている時間の半分以上は仕事をすることになるはずです。
そう考えると「何をするか」は「どこに住むか」よりも優先度が高いことのようにわたしには思えるのです。
会社員の場合、田舎で都会と同じ仕事はできない
移住したもののすぐに帰ってしまう人は、仕事について考えている人が少ないという印象があります。
はっきり言ってしまうと、田舎では都会と同じ仕事はできません。
正確には、会社勤めをしながら、同じ仕事は期待できないということになります。
もちろん、場所に関係ない仕事をしている人やリモートワークを積極的に導入している企業は別です。
それは都会でしかできないことなのか、田舎でもできることなのか。
反対に田舎でしかできなくて、都会では難しいこともあります。
仕事はライフスタイルの一部。
どんな一日を送りたいのか。
それによって暮らし方、働き方が変わってくると思います。
たとえばわたしの場合、子どもと一緒に朝ごはんと夕ごはんの両方を食べられる環境で暮らしたいと思って移住しました。
横浜を離れてかれこれ5年が経ちますが、特別な用事がない限り毎日朝と晩は家族でそろってご飯を食べています。
それは都会のサラリーマン家庭だった私の家ではできなかったことです。
国家公務員だった父は、わたしが物心ついたときには朝早くに家を出て、夜わたしたちが寝ている間に帰ってくるという生活をずっとしていました。
平日の疲れが出るのか、土日は昼までぐーたら過ごして子どもたちと遊ぶことはほとんどありませんでした。
そんな家庭で育ったのになぜ自分も同じ職業を選んだのかおかしいですが、就活をしていたときはあまり考えていなかったんですね。自分がどんな人生を送りたいかとか、どんなふうに子どもと関わっていきたいかということは。
完全に「どこに勤めるか」が目的になっていました。
子どもが生まれてからはじめてといっていいほど、どんな仕事をしたいのか、どんな暮らし方をしたいのか考えるようになりました。
我が家の場合、
1.子どもと一緒にご飯を食べることができて
2.定年のない仕事がしたいという夫の希望を同時に叶えられる仕事
を考えたら、地方で農業するという選択肢に行き着いたわけです。
どんな暮らし方をしたいかを明確にする
わたしたちは天草が好きだからやって来たのではなく、自分たちの望むライフスタイルを実現できる場所がここにあると思ったから来ました。天草だったのは、たまたまご縁があったからです。
どんな暮らし方がしたいかが明確になれば、その暮らしを実現できる場所に住めばよいということになるので、どこに住むかはそれほど重要な問題ではなくなります。
そして、それがしっかりしていれば多少の困難があっても「どうにかなる」と思えてくるものです。
この記事でお伝えする、田舎で生活したい人がするべきことは
どんな暮らし方をしたいのか、どんな働き方をしたいのか
そのための手段として、どんな仕事が適しているかを移住前に明確にしておくこと
次回は、もう一つの大きなハードルであるコミュニケーションについてお伝えしたいと思います。
もっと詳しく知りたい方は、ぜひ天草に遊びに来てくださいね!
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横浜から天草に移住することになった経緯や、起業するまでのあれこれはこちらにまとめました!ブログでは書ききれていない話にも触れていますので、ご一読いただけると嬉しいです。